母から娘へ、受け継がれる伝統の味〜春おばーのなんとぅ餅〜

2020.10.03

今回は、名護東海岸で昔から作り続けられている“なんとぅ”のお話を。

“なんとぅ”とは、もち粉で作られる沖縄の郷土菓子。


名護東海岸には、母から伝統の味を受け継ぎ、なんとぅ屋を営まれている方々がいらっしゃいます。汀間区にある「春おばーのなんとぅ店」の田中喜子さんと三原区にある「きくおばーの味三原なんとぅ」の久志初美さんです。


それぞれにお話を伺ってきました。

まずは、汀間区にある『春おばーのなんとぅ店』へ。

汀間川沿いを走っていると左側にお店が見えてきます。


「なんとぅ餅」は、今から百年以上も前から名護市の汀間(ていま)で作られている伝統的な餅菓子です。

特に地域の冠婚葬祭には欠かせない御菓子でもありました。

昔は、餅米を石臼でひき、余分な水分を臼で押して脱水し、

そこに、黒糖や味噌を合わせてバナナや月桃の葉にのせて蒸すなど手間暇を惜しまず作りました。

当店の初代・仲里春子は、その伝統を守りながら美味しさを追求し続け二代目が現代の味覚に合う味や素材にこだわり、今に受け継ぎました。

春おばーのなんとぅ餅リーフレットより


上から、ドランゴンフルーツ・かぼちゃ・黒糖・よもぎ・紅芋、5種類入った人気商品です。


このなんとぅを守るために私はここに残ってお店を営んでいる。これがなかったら、この地域に残っていなかったかもしれないね〜


と話してくれるのは、「春おばーのなんとぅ店」の田中さん。

なんとぅへの熱い思いが伝わってきます。


春おばーがなんとぅ店を開業したのは昭和50年ですが、なんとぅ作りはもっと昔から。

長年かけて味を追求し、素材がもつ自然の色をそのまま残すために、手搾りした旬のシークヮーサー果汁を餅の生地に入れるなどのこだわりも。

シークヮーサーのほのかな香りも楽しむことができます。

春おばーのなんとぅ店では、昔ながらの黒糖なんとぅに加え、ドラゴンフルーツやかぼちゃ、よもぎなどをあわせた見た目も鮮やかでカラフルななんとぅが目をひきます。

“本土の人や海外のお客様の目にもとまるように”と、直接農家さんから仕入れているこだわりの沖縄の食材でアレンジをされているためです。

それは、食からも“沖縄”を感じて楽しんでもらいたい!という心遣いから。

実際に県外からの発注や海外のお客さまが足を運ばれることも多いそう。

店内の様子。壁にはなんとぅの由来も書かれています。



私が黒糖以外にもいろんな味のなんとぅにチャレンジするのは、母の味である黒糖なんとぅを守るためですね。ほら、今は時代の流れが早いから。時代の変化に合わせて継承することが大切。なんとぅも進化していくことで、目にとめてもらう機会が増えて、たくさんの人に知ってもらえる。

全ては母のなんとぅをつないでいきたいからこそです。


そんな田中さんの思いのつまったなんとぅは、数々の賞を受賞されています!


写真にあるありんくりん市特産品コンテスト奨励賞、ひろしま菓子博金賞以外にもやんばる産業まつりの推奨品や名護市特産品「くくる名護Story」に選ばれるなど県内外から表彰を。すごいです!

お話を伺っている間、隣の加工所では喜子さんの娘さんが、なんとぅ作りに励んでいらっしゃいました。

母から娘へ、すでにここでも伝統の味が引き継がれています。


恥ずかしいから、ということで田中さんのお写真は撮らせていただけなかったですが、なんとぅのお話をされるときの笑顔が優しくてとっても素敵でした。

ぜひ、汀間の「春おばぁのなんとぅ店」で直接ゆんたく(おしゃべり)してみてください。


三原なんとぅ編はこちら

春おばーのなんとぅ 、三原なんとぅともにわんさか大浦パークで購入可能です!