風と緑のちいさなクラフトフェア

2021.02.27

子どものころじーっと近所のおじぃがバーキ(竹)を編んでいるのを見ていた。大人たちの”しごと”がすごくて、不思議だったんだ。

それが”風景”としてあったんだよね。



みなさんは”手しごと”というとみなさんは何を思い浮かべるでしょうか?

梅を干したり、味噌を仕込んだり、食にまつわるものもあれば、自然素材を使って暮らしの道具を手作りしたり?

今回は、名護東海岸久志地域での”ものづくり”のお話しです。

この地域では昔から、バーキ(竹)やすすきなどの自然素材で暮らしの道具を作ってきました。

なんでも買えてしまうこの時代、作り手は随分と減ってしまいましたが、この”ものづくり”という伝統を大切にし、残していこうと活動をされている方たちがいます。

NPO法人久志地域観光協会の取り組みの一つ、「ものづくり部会」です。

数年前から、地域内の公民館や学校などでバーキ(竹)編みやすすきの箒作り体験、草玩具作りなどを行ってきましたが、地域の新しい仲間も加わり、昨年「ものづくり部会」が立ち上がりました。

2020年11月には、『風と緑のちいさなクラフトフェア』を開催!

地域の方々が作った工芸品の展示販売はもちろん、バーキのかご作りや月桃のピアス作りなどのWSも行い大盛況!

たくさんの方にお越しいただき、ものづくりに触れていただく機会となりました。


ものづくり部会が発足するきっかけとなったのは、ご自身でもものづくりを行い、活動をされている島袋正敏さんの想いから。

名護市博物館初代館長でもあり、数々の名護の今と昔をつなぐ活動をされてきた正敏さんですが、ご自身で「やんばる自然を守る会」を立ち上げて自然保護運動をされていたこともあるそう。

自然を大事にしましょう。手つかずの自然が素晴らしい!もちろんそれも大切ではあるのだけど、
かつては農業も暮らしも遊びも全て自然と関わって成り立っていた。

それが今は切れてしまったわけね。

どう関わっていくかっていうことを考えていかなければ本当の自然保護に当たらないのではないか?と思うわけ。

自然素材を使ってそこにあるものと関わっていく。

そうするとね、自然の見え方が変わってくるんです。

自然は美しい癒しの対象である、生物多様性、だから守る必要がある。それも大切なんだけど、あくまでもそれは一面であって、もっと暮らしや遊びの中にどう自然を組み入れていくのか、かつてそうであったように一握りでもいいから手繰り寄せることが、自分たちの感性を豊かにしたり、創造性を養う力を身につけていくことができる。こういったこともとても大切なことだと思うんだよね。


自然との関わりの中で生きていく上で必要な感性が養われていく。幼少期にそういった感性を育むことが大切。だからこそ特に子どもたちに伝えたい、と正敏さんは言います。

島袋正敏さん。黙々100年塾蔓草庵にて。

手しごとは、物を作るだけではなく、風景を作っていくんですよね。風景が見えるということはとても大切なことだと思います。昔は地域のいたるところで、手しごとをする姿を見ることができたんですよね。

クラフトフェアは物の展示だけじゃなくて、WSなどで手しごとの風景を子どもたちに見てもらうことができる。作っているところを見るだけでもいいから、その風景に触れるって大切なんだよね。作るところを見る、まずはそこだね。


風景を作る。

現在の社会構造的に昔に戻ることは不可能だけれど、ものづくり部会としてものを作り続けること、同時にものづくりの風景を見ることができる場を作ること、第1回目の風と緑のちいさなクラフトフェアでそのような空間が作れたことをとても喜んでいらっしゃいました。


こちらは、ものづくり部会の部会長であり、風と緑のちいさなクラフトフェアの実行委員長でもある仲地静香さん。

イラストレーターとして活動されている仲地さんですが、現在はものづくりに夢中!とのこと。

三年前に月桃のかごに出会ってから 本格的にものづくりに夢中になっています。地域の手しごとの素晴らしさをあらためて感じているこの頃です。竹のかごも修行中でまだまだやってみたいことがたくさんある。


仲地さんが主催されている月桃のカゴバッグ作り教室。
たくさんの方が月桃しごとを学びたいと通われています。


正敏さんも仲地さんが加わってくれたおかげで地域のものづくりに新しい風が入り、とてもいい雰囲気になってきている、とおっしゃっていました。

現在、部会長としてものづくり部会を引っ張っている仲地さんに、クラフトフェアをやろうと思った経緯について伺いました。

まずは、地域の先輩方と何かを一緒にやってみたかった。大好きなクラフトフェア松本のようなものづくりを共有できる場所を作れたらなぁ、と思ったんです。

そしてやってみたら、手しごとで言ったら手も届かないような大先輩方がこうして身近で関わってくださって教えていただいて、一緒に何かを作り上げていくことができた。受け入れてくださることに感謝だし、本当に恵まれているな〜と思います。

地域を誇らしく思った。夢のような1日でした!!




クラフトフェア 実行委員会のメンバーたち


そんな風と緑のちいさなクラフトフェアですが、第二回目の開催が決定しました。

3月21日(日)に黙々100年塾蔓草庵にて。

そして今回は、たくさんの方に知っていただきたい!とオンラインでのライブ配信にも挑戦されるそうです。

クラフトフェアの詳細はこちら


お二方にクラフトフェア への意気込みを伺うと、

1回目であれだけたくさんの人たちがきてくれたことはとても嬉しかった。大人たちだけでなく、子どもも引き連れてきて欲しいですね。

島袋正敏さんより

やんばるでものづくりをしている方たちの交流の場、のようにもなれたらと思っています。まずは続けていくことが目標ではあるけどとにかく楽しく!

仲地静香さんより


とのことでした。

名護東海岸の”ものづくり”の風景を垣間見られる貴重な機会!

人と自然が織りなす風景は、笑顔と優しさで溢れていて、心地よい空間になること間違いなしです。

ぜひ足を運ばれてみてください。



クラフトフェアの詳細はこちら