久志地域の「余りがち」と「残したい」がひとつになった、竹かごとシークヮーサー

2021.10.29

少しずつ風が涼しくなってきた、と言ってもまだまだオオシマゼミの鳴き声が響く沖縄から、秋の贈り物を紹介します。

昨年に引き続き、「竹かごとシークヮーサー」の販売を開始しました。

沖縄県の特産品のシークヮーサー(和名:ヒラミレモン)
沖縄の方言で「シー」は「酸」、「クヮーサー」は「食わせる」という意味で、
合わせて「酸を食べさせる」という意味 。


「余りがち」なのは、実は少し複雑な理由がある「シークヮーサー」


シークヮーサーは季節物。
今の時期を過ぎると完熟が進んでしまい、本土に送る間に腐れてしまいます。
今は青々とした木々の中で、酸味の強い「青切り」と呼ばれるシークヮーサーが実っています。

シークヮーサーは収穫する時期によって名前を変えます。
9月~10月頃に収穫をした、酸味が強いシークヮーサーを「青切り」
11月~12月頃に収穫をした、甘味があるシークヮーサーを「黄金(くがに)」

爽やかな酸味が特徴的なシークヮーサーは、このたった約2ヶ月間の「青切り」の青果が求められます。加えて、「青切り」シークヮーサーの皮に多く含まれるポリフェノールの一種「ノビレチン」が、血糖値抑制・血圧上昇抑制・認知症予防等の効果についての研究が発表され、注目されています。


実は、シークヮーサーを取り巻く環境は少し複雑。
名護東海岸久志地域ではシークヮーサーは”余りがち”な作物なんです。
約20年前にシークヮーサーは、血糖値抑制・血圧上昇抑制等の作用をもつ「ノビレチン」や「タンゲレチン」の機能性成分が多く含まれていることが明らかにされました。それによりメディアでの報道も多くなり、シークヮーサーのブームが到来し、多くの方が畑にシークヮーサーの苗を植えました。

20年がたち、その植えた木も成長し、たわわに実をつけるようになりました。
しかしながらブームは長く続かず、さらに農業をされている多くの方々も齢を重ね、収穫がしにくくなってしまいました。
その他にも大口で買い取りをしてくれるところも出荷量の制限があったり、、、
高単価の他の作物の出荷時期と重なっていたり、、、
もしかしたら、身近に在り過ぎて、地域の方々から見た利用価値が低いことも
“余りがち”な理由の1つかもしれません。

「残していきたい」地域の手しごと文化の「竹かご」


竹かご(方言名でバーキ)もちょっと複雑です。
名護東海岸久志地域、また沖縄のみならず、日本の”田舎”において
そこにあるものに手を加え、生活の道具を作る”手しごと”文化はあるはず。

”買ったら何でもそろう時代ですが、
地域にある自然の恵みを材料とし、

自分で時間や手間をかけて作るからこそ、
気持ちのこもった“特別なもの”に変身してしまう。

それが“手しごと”のおもしろさです。”

久志の手しごと より
収穫の時はやっぱりバーキが一番使いやすい。


どこの田舎でも共通しているのが、「手しごと」の文化が継承されにくいこと。
バーキもパイナップルの収穫時に背負ったり、
釣った魚をいれる魚籠(びく)になったり、
今でも久志地域の生活の中にありますが、作れる”人”が少ない。

今回はその”余りがち”なシークヮーサーと、
”作り手”の増加拡大を目指したバーキとのコラボ商品を販売します。


数行前に、
”地域にある自然の恵みを材料とし、自分で時間や手間をかけて作るからこそ、
気持ちのこもった“特別なもの”に変身してしまう。それが“手しごと”のおもしろさです。”

と書かせていただきました。

お届けしたシークヮーサーを「絞る」というひと手間をかけながら、
お料理やお酒が”特別なもの”に変身してもらえたら嬉しいです。


地域課題の解決に向けた歩み


久志地域では2018年からシークヮーサーにまつわる地域課題解決のために
様々な取組を実施してきました。
その一部をご紹介します。

■地域課題解決に向けたスタディーツアー
地域資源のブランディングや商品開発ではない「第三の案」を模索したい。
大量生産や加工体制を整えるのではなく、今のシークヮーサーを買ってくれて、さらにその他にもある地域の課題に目を向けてほしい。
人と人との繋がりを創出し、関係人口として今後も地域と関わってほしい。
そんな考えから、WHEREさんと連携協働してスタディーツアーを実施しました。

内容については、LOCALLETTERさんで記事も書いていただきました。
✎地域課題を解決していくために

✎シークヮーサーが主役の食イベント@都内のこと
✎シークヮーサーツアー@久志地域のこと

地域課題をもつ農作物はシークヮーサーだけでなく、他にもあります。
その一環で、ツアーではありませんが、沖縄パイン魅力発信プロジェクトも実施しました。
✎沖縄パイン魅力発信プロジェクト

2018年に実施したスタディーツアーの収穫体験の様子

■久志地域の小中一貫校緑風学園「ふるさと学習」での取組
久志地域の汀間区にある名護市立小中一貫校「緑風学園」では、地域の自然・歴史・文化を学ぶ「ふるさと学習」を行っています。
「食」がテーマの5年生が、毎年収穫のお手伝いをしています。

緑風学園ふるさと学習での収穫体験の様子

昨年に引き続き、今年も新型コロナウイルス感染拡大の影響から、
収穫体験を行うプロジェクトは見送りとなっています。
しかしながら畑には、出荷先が決まっていないたくさんのシークヮーサーが実っています。
地域のある宝ものを大切に、多くの人に届けたい。
そんな想いを込めてお送りします。

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🟢竹かごとシークヮーサー【数量限定】
*丸かごとシークヮーサー800gセット
3000円(送料無料、税込)
*楕円かごとシークヮーサー1kgセット
3500円(送料無料、税込)

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「久志の手しごと」https://kushinavi.buyshop.jp/

💁‍♀️この商品は沖縄県が実施する「EC活用による県産品等販売促進支援事業」 の対象であり、県外消費者への送料に対する補助を受けています。

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参考:
・JAおきなわ「特産品 シークヮーサー」
・農林業問題研究「ブーム後のシークヮーサー生産および商品展開のデザイン」
・日本農業新聞「シークワーサー新たな商機 認知症予防効果で脚光」