セーイカの甘味と味噌の辛味がマッチ。「捨てるのはもったいない」から生まれたイカラー。

2019.03.29

名護東海岸で暮らす人の「好き」が高じて、結婚式の引き出物にもしたというイカの加工品があると聞いてやってきました。「イカラー」を開発した新名善治さん・栄子さん夫婦さんの家の庭につくられた加工場です。


善治さんが大分県の出身ながら汀間区長を務めているのは、その人柄ゆえなのでしょう。これまでに働いてきた土地の影響なのか、関西のイントネーション。名護東海岸生まれである妻の栄子さんのツッコミも妙に抜群です。


まるで夫婦漫才?! な二人に聞きました。

イカラーって何ですか?


8年前までは、単身赴任で沖縄と赴任地を行ったりきたりの生活をしていた善治さん。定年を迎え、今までやってきた仕事は沖縄ではできない。では何しようかなという時に「わんさか大浦パーク」という場ができました。
協力会の一員となり、活性化のために何をしようと考え、ここに来ないと食べられないものの開発をはじめることに。


善治さんは仕事で中国に行く機会が多かったそう。

善治さん 中国の奥地に行くと海を見たこともない、川の魚しか食べたことがないという人がいる。ぼくがお土産に海の魚の加工品を持っていったら、びっくりするくらい感激されて、川の魚でやったらいいさーって言ったのに、お金渡すからこれを買ってきてと言われる。


汀間漁港の魚介類も輸出するくらいのことをやればいいのでは? と善治さんは考えました。

善治さん 「彼女(栄子さん)の同級生に海人何人かいて、セーイカ(ソデイカ)という大きなイカが揚がるんだけど、ゲソはお金にならないから、船に乗せるスペースがなくて、海に捨てると聞いて。もったいないな、何とかできないかな。


と思ったのがはじまり。

世界に一属一種のイカで、沖縄の人に愛されるこの海の幸は、味がセー(エビ)に似ていることからセーイカと呼ばれるようになったといわれています。

栄子さん 私らは捨てても当たり前だと思ってたけど、よそから来た人が見たら“もったいない”。そこに目を付けたのはすごい。


試行錯誤を重ね、ラー油のような作り方で、ミンチにしたセーイカに、味噌やニンニク、ショウガ、ゴマ油、砂糖、七味唐辛子を合わせて「イカラー、食べて味噌」を開発しました。

善治さん 味噌の辛さとイカの甘さがうまいことマッチする。沖縄に油味噌ってありますよね。まったく違うんでこれはいけるかもしれない。商品化をやってみようとなった。

栄子さん ちょうど民泊事業も始めていて、修学旅行の子どもたちに、最初の頃はイカラーをタッパーでぽんと出したら、おかわりで全部なくなって。これは引き合わないなと思って(笑)、ごはんの上に刻み海苔をのせて、イカラーとレタス、トマト、マヨネーズで、“イカラーライス”にしました。


「もう何百人も泊まってると思うけど、おいしいです!買って帰りたいです!って言う子が100%!」と善治さんが言うと、
「えらい自信やな! でもパッケージ(善治さん作)がださいもん。昭和だよ」と栄子さんがツッコミます。

「イカラー 食べて味噌」はわんさか大浦パークのみで販売されています。


沖縄のタコライスならぬイカラーライス以外にも、キュウリに付けたり、ラーメンにのせたり、チャーハン、キンパ、イカラーバーガー、酒のあてなど味わい方は幅広い。


この地域の民泊事業も、新名さん夫婦がはじめたそう。

栄子さん ふつうは事務局ができてからだけど、私たちがやって、それから事務局ができた。一歩踏み出さないとわからない、誰かがやりださないと見えないから。


報道をにぎわせた「名護市東海岸入会漁業組合」の事務局長でもある善治さんは、船を出し、捨てられてしまうゲソの回収にまわることも考えています。