週末限定!マヌルパン~やんばるの特産「シークヮーサー」に、現代のトレンドを取り入れる~

2021.11.18

休日の朝に漂う、焼きたてパンの香り。
週末(土日祝)限定の「マヌルパン」が焼きあがったようだ。


沖縄県内でほとんど見ることができない、珍しいパン。
週末はこれを目当てに来るお客さんも多いです。


まだまだ自然が残るこの地域で試行錯誤する、商品開発のお話。


「マヌルパン」って何?

お客様は、店頭に掲示されている商品POPを見て「これは何?」「何が入ってるの?」とスタッフに訊ねる。
新商品!と書かれたものに過敏に反応する方もいるはずです。


お客様は買い物をするとき、無意識にも新しいものを探しています。
いつもと違うお店に行ったり、見慣れない商品を見ると、ワクワクするでしょう。


今春、内地で「悪魔のパン」と呼ばれる「マヌルパン」が販売されました。
マヌルパンのマヌル(마늘빵)は、韓国語で「ニンニク」。
元は韓国で人気の屋台メニューです。


一般的な材料はパン生地、クリームチーズ、ニンニク、レモン果汁。
焼き上がると、ガーリックトーストのような食欲そそる香りが漂います。


ニンニクとバターが口に広がるのと同時に、中央に乗せられたクリームチーズが何とも言えない甘さで調整してくれます。
ガーリック好きにはたまらない、病みつきパン。


「レモン果汁の代わりにシークヮーサーを使って、わんさかでもできないか?やってみよう!」と開発がスタートしました。




「パンは生き物、発酵が大事。温度湿度に左右されるため、沖縄はパンを作るのが難しい。寒くなったらいっぱい寝る。だからパンって面白いんですよね。」

わんさかスタッフ 有銘亜依さんより


並んだパンを前にそう話すのは、那覇から名護に引っ越して2年目の有銘亜依さん。
ホテル、ケーキ、居酒屋、パン、と多種の調理製造を経験してきました。


現代では、大体のコトはインターネットで検索するとわかります。
今回のマヌルパンのレシピもネットですぐ見つかりました。


生地はかぼちゃカレーパンと同じ。発酵させて、焼いて、切れ目を入れる。
ニンニクバターの液にたっぷりと浸して、最後にクリームチーズを乗せて、再度焼き上げます。


わんさかでは、かぼちゃカレーパンが惣菜の看板商品。
名護市では、かぼちゃを 拠点産地特産品に指定していて、特産品を使った商品をつくろう、と開発されました。この開発秘話はまた後日。


拠点産地特産品、名護市の特産品について
名護市の産業 | 名護市役所 (city.nago.okinawa.jp)

皮に含まれる「ノビレチン」、苦みが課題

けれども完成までそう簡単じゃないのが商品開発。



東京のマヌルパンはレモン果汁が入っている。やんばるらしさ、わんさからしさを出すためには、シークヮーサー果汁を使うことが必須。


わんさかでは、買い取った青切りシークヮーサーを皮ごと搾っています。
〝青切り〟はその強い酸味からも分かる通り、クエン酸がレモンの約2倍。

また〝青切り〟の皮には苦味がたっぷり。
苦味があるからこそ、体にいい「ノビレチン」が豊富な証拠なのです。

加工したシークヮーサー果汁は栄養たっぷりな反面、苦みがネック。
東京のレシピを真似しても全然美味しくならない。

そこでヒントになったのが、わんさかで人気スイーツのシークヮーサーチーズケーキでした。


シークヮーサーチーズケーキは、リピーターが多いスイーツの1つ。
こちらは、甘さを加えるために、健康に配慮してきび砂糖を使っています。



ケーキの開発者 萱島真由美さんは、「白砂糖はカラダを冷やす、なるべくカラダにいいものを食べて欲しい」
そんな思いから材料にこだわっています。


「そしたら、シークヮーサー × きび砂糖がマヌルパンにも生かせるのでは?」と挑戦してみると、なんと苦みを抑えることに成功したのです。

健康に配慮して使っていた材料が、同じシークヮーサー商品の救世主になったのです。




いかに効率よく多くの商品を作るかにも注力しているわんさか。
平日はここの工程まで仕込みをすれば、週末は解凍して焼き上げればいいから…
あーだこーだ考えながら試しながら、マヌルパンは冷凍保存できるようになりました。


これで冷凍販売も可能になるため、家庭でトーストするとおうちで焼き立てのマヌルパンを楽しめます。
※現時点21/11/18では冷凍販売は行っていません



違うフィールドを経験してきたメンバーだからこそ、アイディアがどんどん出てくる。


現在のスタッフは、久志地域出身が1名、名護市が1名、県内が2名、内地(本州)が5名。

定休日には、月に1度全体ミーティングを行っています。
お客様のご意見や感想や、商品開発の進捗状況を共有しあうとても有意義な場です。
新商品は全員で試食。

「中南部とは違う魅力がある。THE都会で、観光客向け。住んでわかる、名護にしかない魅力。そしてわんさかの魅力。」

わんさかスタッフより

「地域の未来を守るためにも、築くためにもわんさかはとても素敵な場所。地域の子供たちが働きたい、そう思える場所に将来なればいい。」

代表取締役 深田さんより



日々生まれるトレンドに敏感になりながら、今あるものと融合させていくことが商品開発の醍醐味です。


沖縄の中でも田舎に住む私たちの情報源となるのは、ネットやテレビの全国ニュースやSNS。
古き良きものを大切にする一方で、時代の変化やニーズを察知し、形や方法は変えていかなければいけません。 




沖縄県の中でも、名護市。名護市の中でもこの東海岸「久志地域」。
「久志地域」のなかでも わんさか。

ここで働く意味は、たくさんの魅力と主体的・独創的に考え、行動できる、この環境なのかも知れません。


まだまだわんさかの商品開発は発展途上。
冷蔵商品や、常温商品の可能性がたくさんあります。

少しずつでも、今日も前へ進む。
11年目のわんさかにも大注目です。



わんさか大浦パークの最新情報は、Instagramから*

https://www.instagram.com/wansakapark