12人兄弟、母から受け継いだ知恵
2020.01.20
“「カタバミ」って知ってます?昔は「メーハチジャー」って呼んでたんだけど、
子どもの頃、熱をだしたり、化膿したとき、お茶碗にすりつぶしたカタバミとお湯と砂糖をいれて、お母さんが飲ませてくれたんです。
カタバミだけだと酸っぱくて子どもは嫌がるから、ちょこっと砂糖もいれて、飲みやすくして。
ケガをしたら、「オオバコ」を湿布にしたり“
畑にある野草をみながらそうお話してくれたのは、“ちかちゃあ”のお2人。
名護東海岸で、農業をしながら加工品にも取り組んでいる姉妹です。
月桃やレモングラス、フーチバー(よもぎ)などを乾燥させて、お茶にして販売しています。
現在、沖縄県の事業の「アグリチャレンジ起業者育成事業支援プロジェクト」にも挑戦中。
今回は、いつも笑顔で明るく、何事にもフットワーク軽く挑戦されるお2人のご紹介です。
お2人が農業を始めたのは2年前。
三原区のご実家の前の畑をなんとかしたいという想いから。
なんでもやってみよう!精神のお2人の畑では、
レタスに大根、ニラ、島とうがらし、コーヒー豆、バタフライピーなどいろんな種類の作物が育てられています。
そして特徴的なのはお花が多いこと。
“女性がやっている畑だからさ、もともとお花が好きだし、女性らしさをだそうとおもって”
と笑顔で話してくれました。
そして、畑を始めてから約1年後に加工品の挑戦も始めます。
きっかけは、お友だちの先輩農家さんにやってみたら?と声をかけられたこと。
そのときに、ビビビっとご実家の裏の山にある“月桃”を思い出したそう。
「じゃぁ、やってみるか」と乾燥してお茶にしてみたことが始まりだそうです。
なんとも素直で軽いフットワークと行動力。
そこからは、月桃にとどまらず、いろんな山や畑にあるハーブの効能を調べ面白いとおもったものや、身体にいいとおもったものを加工品にしていきます。
お2人を見ていて、印象的なのは、姉妹の仲の良さもそうですが、なによりもチームワークと役割分担。
姉の美智子さんが、畝作りなどの力作業やアイデア出し、POP作りなど、
妹の富士子さんが、苗床作りや袋詰めなどの細かい作業や会計などを。
それぞれの役割を軽やかにこなしていきます。
“子どもの頃は、畑もやるし、馬も豚も山羊も飼っていて、
12人も(兄弟が)いるもんだから、当番制でそれぞれ役割分担されて、ノルマがあったの。
家畜の世話当番や山に水を汲みに行く担当とか、
全部お母さんが仕切って子どもたちに任せて、責任持たせてやる感じだった。“
なるほど。 子どものころから培われてきた力だったんですね。
そう、そして“ちかちゃあ”のお2人はなんと12人兄弟!
その中の八女と九女です。
今でも兄弟仲良く、お互いの畑の手伝いや定期的に集まったり、頻繁にやりとりをしているそう。
お2人とのお話しの中では、何度もお母さまの“春子さん”のお話がでてきます。
“1番目~6番目が全部女で、7番目でやっと男が産まれた。8,9,10とまた女で、11,12が男。本家だから、男を産まなきゃとプレッシャーもあったはず”
“今でも「春子は上手に子どもたち育てたね~」ってご近所さんや親戚に言われるよ”
“いつもニコニコしているお母さんだった、「笑うことが一番!怒ると負け、笑うが勝ち!」「おてんとさまにつば吐いたら(誰かの悪口言ったり、嫌がることしたら)自分に返ってくるよ!」が口ぐせだった。”
50代前半で若くして亡くなられたそうですが、
今でも尊敬する母で、お母さんが原点、とお2人は言います。
お2人の明るさや素直さ、野草や薬草を利用するアイデアなどはすべてお母さんからもらったもののようです。
最後に「アグリチャレンジ」への意気込みを伺うと
“「すぐには成功はしないかもしれないけど、何事も積み重ねと経験が大事」と言われて、あぁ、そうだなぁ~とおもって。
人と人とのつながりはチャレンジにすることによって広がるし、やることによって新しい情報が入ってくるのが楽しい。
焦ることも不安もあるけど、2人だから出来ることをコツコツと背伸びしすぎずただ一生懸命やることだとおもってます。“
そんなお2人が作った加工品は現在わんさか大浦パークにて販売中です。
また、2020年1月26日(日)には、名護のファーマーズマーケットのイベントにも出店予定とのこと!
そんなに遠くない未来、いろんなところでお目にかかれるようになるかもしれませんね。
ちなみに、“ちかちゃあ”とは“シャリンバイ”のことだそう。
シャリンバイの実をおやつ代わりに食べていた子どもの頃の思い出から“ちかちゃあ”と名づけたそうです。
今後のお2人の活躍を楽しみにしています。