”当たり前”にあるものに目を向けて
2021.02.15
今、目の前に”当たり前”にあるものに目を向けて、その魅力を引き出す。
今回は、そんな地域のお母さんのお話しです。
沖縄県本島北部(やんばる)が原生の”シークヮーサー”
ここ名護東海岸でも、シークヮーサー農家さん始め、ご家庭でもシークヮーサーの木を育てている方が多くいます。
(シークヮーサー農家さんの記事はこちら。)
春先に花が咲き、5月頃から実がつきはじめ、9月頃から収穫が始まり、
始めはとても酸っぱいことが特徴の”青切りシークヮーサー”として、その後は少しずつ完熟していき、秋から冬にかけては甘い”完熟シークヮーサー”として、
季節によりいろんな味が楽しめる果実でもあります。
一本の木から多いものだと100kg近くのシークヮーサーが収穫できることも。
この地域では昔からとても親しみのある、また”当たり前”にある果実です。
”当たり前”にありすぎて、その価値を見落としそうになってしまうこともあるのですが、シークヮーサーのある風景が、この地域の色でもあり、喉が乾けばシークヮーサーで潤すなどの文化を作ってきたこの地域の宝物でもあります。
庭先でシークヮーサーが実れば、お刺身やサラダに搾ってかけたり、ジュースにしたりゼリーにしたり、冷凍して一年中楽しめるように、とどこのご家庭もいろんな工夫をされています。
そんなシークヮーサーを使って、もっと違う魅力を引き出した何かを作れないか?
と、考えアイデアをカタチにしたのが、新名栄子さんです。
庭に一本のシークヮーサーの木があって毎年たくさん実るんだけど、すごい量で。熟して落ちて、それでもまた翌年たくさん実る。ジュースやゼリーは作るけどまだまだある。。どうしたもんかなぁ?と考えてるうちに、ふっと、あっ!ジャムも良いんじゃないかな〜と思って。
通常柑橘系のジャムというと、皮を使ったマーマレードジャムを想像しますが、新名さんのジャムは皮が入っていません。
トロッとしたまるで蜂蜜のようなジャムです。
それはなぜ??
シークヮーサーの皮って苦味があるから、皮を入れたら苦すぎる気がして。
搾った汁をそのまま煮詰めたらどうかな?と考えてやってみたら、意外とイケるな〜と思って。笑
それで、民泊のお客さんに出したら、素朴な自然な味ですごく美味しい!と言ってもらって。
それから作るようになりました。
このシークヮーサーどうしようかなぁ?と考えているうちに、
閃いたアイデアから、行動することによって産まれたこのシークヮーサージャム。
”果実”を煮詰めるのではなく、”果汁”を煮詰めるというアイデアはなかなか出てこないものかと思います。
実際に、皮と果実入りのジャムも試したそうですが、やはり苦すぎたとのこと。
さらっとおっしゃられるので、簡単に作られたように思いますが、ここまでたどり着くのにいろいろと試行錯誤をされていました。
この地域の食材、特にもったいないものとか使って何か作れないかな〜って寝てるときとかも四六時中考えてる。
あれしたらどうだろう、この組み合わせがいいんじゃないか、と思ってまずはやってみる。
新しいものを産み出すのが好きなのかもしれないね。
このお話を伺っている間も、シークヮーサーの別の食べ方についていろんなアイデアが湧いてきていらっしゃって!
本当にすごい!!
(ちなみに新名さんは以前にご紹介させていただいた「イカラー味噌」も作っていらっしゃいます。記事はこちら。)
新しいアイデアをどんどん形にしていくバイタリティ。
そして、”当たり前”にあるものに目を向けて、魅力を引き出していく。
そんな新名さん自身がこの地域の”人”という宝物だと感じました。
そして、この地域の宝物である”素材”と”人”を掛け算した、とっても美味しく魅力が詰まったジャムをもっとたくさんの方に知って欲しいということで、わんさか大浦パークで製造販売を開始することとなりました。
(2月下旬を予定しています。)
シークヮーサー独特の酸味とほろっとした苦味がクセになる、
「シークヮーサービタージャム」です。
パンやヨーグルトにかけるのはもちろん、お湯で割って飲んだり、お肉料理のソースとしてもよく合います。
ぜひお試しください。