マングローブサブレが、誕生するまで。

2019.06.05

今回は、朝日のそばで育った農産物が“商品”として生まれ変わり、直売所に並ぶまでのものがたり。わんさか大浦パークのスタッフが日々地域と向き合い、関わり合い、思いをもって働く姿が垣間見えるかもしれません。


「わんさか大浦パークって公園ですか?」と度々聞かれることがありますが、
ここは、名護東海岸の10の集落が出資し合って運営している交流拠点施設。

そのなかには地域の農産物や加工品を販売する「直売所」や、毎日お惣菜やおやつを手づくりする「調理室」、日々の運営を裏方で支える「事務所」があったり、みんなで作戦会議や交流会をするときにつかう「会議室」、地元食材をつかった沖縄料理が食べられる「食堂」もあります。

芝生のひろばもあるので公園のようにして遊ぶこともできるし、まわりはやんばるの山々と、大浦湾に囲まれているのでマングローブ遊歩道を歩いたり、カヤックに乗ったりして自然を満喫できる場所。


だから、ここには地元の農家さんが野菜を出荷したり、販売する加工品を調理室でつくったり。ドライブの寄り道や沖縄旅行で名護東海岸に訪れたお客さんは、ちょっとお腹がすいたところでおやつを食べたり、お土産を買ったり…


兎にも角にも、日々いろんな人がいろんな目的で集う、まさに“交流拠点施設”。
わたしたちはここを愛称として、親しみこめて「わんさか」と呼んでいます。



そんな“わんさか”には、これまで手土産になるものが少なく、前々からあったおみやげづくりの構想を、満を持して形にした二人のスタッフがいます。

まず一人目、服部あや乃さん。

愛知県の出身で、2017年に沖縄へ移住。それまでは旅行会社で働いていましたが、もともと食や自然への関心が高くて、日々の暮らしを大切にしたいという思いから沖縄北部に住んでみたいと思っていたところ、ご縁が重なってわんさか大浦パークで働くことに。

普段は名護東海岸アグリプロジェクトの活動メンバーとして、地域の農産物の6次産業化をサポートしています。地域の農産物が売れて、農家さんをはじめとする地域の人たちが喜ぶような商品開発を目指して。わんさか大浦パークがこれまでやりたかったけど、できなかった分野を開拓している!といったような感じですね。


服部さんがわんさか大浦パークに加わったことで完成したのがこれ!
その名も「マングローブサブレ」。

大浦湾の生きものと、名護東海岸の食べものがコラボレーション。
…つまり、世界中のなかで“わんさか”にしかないもの!

形は大浦マングローブ林のヒルギをモチーフにして味はここの特産品である「久志カボチャ」と「タンカン」。そして、この夏に新たに仲間入りした「パイン」の3種類。

そのうえ、卵やマーガリン、添加物、保存料は一切使わずに、子どもが安心して食べられるような身体にやさしい素材でつくるのが、二人目に紹介したい、パティシエである萱島真由美さんのこだわりです。

地元の食材をつかって、時間をかけて丁寧にその素材を生かすこと。地産地消を心がけてお菓子づくりをしています。例えば、タンカンサブレは本来であれば廃棄されてしまうタンカンの皮を使って。皮をピールにするには手間がかかるけれど、その一手間がおいしさにつながるんです。気取ったお菓子ではないので地域の人たちが愛情込めて育てたものを毎日のおやつや、ちょっとした手土産にしてもらえたらいいなと思います。


そうそう。わんさか大浦パークには地域の農家さんたちが大切に育てたものが集まってきます。でも、本当は食べられるのに捨てられてしまう部分や、形やキズなどの理由で流通に乗せられない“もったいない”ところがまだまだたくさんあって、どうにかして付加価値をつけて販売できないかと日々奮闘しながら商品開発に生かしています。

「久志カボチャ」もそのひとつ。畑に置き去りになっていたところをレスキューして、今までに「かぼちゃカレーパン」や「かぼちゃシュークリーム」などの人気商品となりました!

 野菜に画一性が求められるあまり、少し小さかったり、形が不揃いであったりするだけで、同じ野菜なのに価値が低くなってしまうのを何とかしたい。せっかく育てた野菜が規格外で出荷できなくて、困っている農家さんをサポートしたいと思っています。あと、何よりもまずは地域の野菜を活用する方法を日々農家さんと一緒に考えて、農家さんたちとの信頼関係を築いていきたいですね。

と話す服部さんは、調理室で試作品を作っているかと思えば、長靴に履き替えて、地域の畑に出向いて野菜を収穫したり、とても熱い思いをもって地域に向き合うスタッフの一人。

萱島さんが調理室にいるときには、その笑顔から生まれる明るい雰囲気とおいしそうなお菓子の香りが漂っています。



二人のなかで共通しているわんさかの好きなところは地域の人が集まり、
“アイデアを出し合って地域を盛り上げようとしているところ”



いつも地域の人たちの顔が見える、声が聞こえる。
だから、もっとたくさんの人に来てほしいし、食べてほしい。

そしたら、おいしいものも、たのしいことも増えていくよね。

…だから、“わんさか”って呼ぶんだなぁ。


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今回、ご紹介した「マングローブサブレ」は
わんさか大浦パークの店頭にてお買い求めいただけます。
そしてなんと、私たちのマングローブサブレが
名護市特産品認証制度くくるナゴstoryに認証していただきました!


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