地元にある、変わった美味しいはちみつを知ってほしい。「にがあま蜜」に詰まった、やんばるの自然と人のつながり。

2022.02.25

沖縄県名護市
久志地域の天仁屋区から山奥へ向かうと”オーシッタイ”という地域があります。


国産のはちみつの中でも数が少ない「アサグラ(和名:フカノキ)」の
はちみつを作っている蜜蜂ブンブン堂の平良拓さん。

なんとお父さんの代からこの地ではちみつを作っているとのこと。

僕はね、蜜蜂に巻き込まれた…というかはまったタイプなんです。
中学生の頃に親父の採蜜を手伝ったことがあったり、マンゴーの受粉に使う蜜蜂を眺めたり。蜜蜂は身近で。
関西でシステム屋の仕事をしていたんですけどね、
その頃を思い出して2箱だけ置いてみたんですよ。

そしたらドハマリしてしまって。
眺めているだけで、癒されるんですよね~!


とっても嬉しそうに蜜蜂の話をする平良さん。
お話を伺っていると、本当に蜜蜂が大好きなんだなあと感じます。

長年デスクワーク中心で、画面を見続けることが体力的に限界で。
カミさんの後押しのおかげで、こっち(沖縄)に帰ってくることを決めました。

自分が沖縄で養蜂修行をしている間に、カミさんは関西の実家の庭先に
小さなカフェ「蜜蜂ぶんぶん堂」をオープンして蜂蜜を売ってくれました。
去年からは沖縄で一緒にわんさか大浦パークやネットでの販売などを手伝ってもらっています。


ご夫婦お二人で作業する姿は、まさに「阿吽の呼吸」。
「カミさんがさ~」「拓ちゃんはね~」と、お互いのお話が聞けて、
仲の良さが伝わってきました。

今は蜜蜂の世話しながら食わせてもらっていますよ。

プログラマーの仕事は、0から作る仕事で。
全部自分で作っているので、不具合が出たらどこが悪かったのかすぐ調べられるんですよ。
だけどこっちの仕事は、基本手助けするだけ。その点は気が楽ですよ。
逆に自然物は予測がつかない事も多くて、いい年も悪い年もある。
なぜそうなったのか、理由がわからないことが多いんです。
蜜蜂にとって良いことをしているのか、余計なことなのか、

難しいところでもあるけど、そういうのが面白いところ。

だから生き物の世話を楽しめるかどうかは、
人によって違うなあと思います。

相性があるなあ、と。
自分もまだどうだろうな、ちゃんとできてるのかな。
いつまでも分からないことがあるから、楽しいし続くんだなあと思います。

 

奥深い、蜜蜂とはちみつの世界。

西洋蜜蜂って、人間社会と深い関係があって。
花はもちろん、最近は人間とも共生している生き物なんですよ。
受粉昆虫(ポリネーター)として、人間は蜜や花粉の恩恵を受けてるんですよ。


沖縄産の交配用蜜蜂は、冬季に内地(本州)の施設農業にとって欠かせない資材になっているんです。
県内の養蜂家も増えていて、飼育環境は過密で年々厳しくなってきていて、
蜜蜂だけのことを考えるというわけにもいかなくなってきたので、難しいですね。


沖縄でもかぼちゃを始め、多くの野菜や果樹が蜜蜂による受粉で実っています。
国立研究開発法人農業環境技術研究所の研究では、蜂を中心とした受粉昆虫が農業において果たす役割の経済価値がとても高いと評価しています。(※1)

蜜蜂はさ、何億年も生きてて、やっぱり年季が違うなと思うんですよ。
寒くなる時にはちゃんとその準備している。
去年の冬を経験してない、生まれたばかりの蜜蜂なのに。
なんでわかるの?と思うよ。
蜜蜂は、知ってる状態で生まれて、生きてる。
人間が地球の中心じゃないって教えてもらいますよ。
世界の見え方も変わります。深いんですよ、蜜蜂って。


「人類最古の甘味」とも呼ばれる蜂蜜。
ギリシャ神話や古代エジプト・メソポタミア文明時にも蜂蜜が食べられていたり、日本でも「日本書紀」に蜂蜜に関する記述があるそうです。

はちみつは、風邪の時舐めると喉に良い、というイメージがあります。
実際にはちみつはカロリーが高く、強い殺菌力を持っており、常温で保存可能なため、非常食としても優れています。
また消化吸収にも優れているので、体力が落ちた時、素早くエネルギー補給ができます。

アサグラ(和名:フカノキ)の花


蜜蜂ブンブン堂さんのはちみつは、やんばるの森に自生しているアサグラを蜜源としており、
蜜蜂が集めたはちみつをそのまま瓶詰した、100%純粋はちみつです。
アサグラは風に弱く、台風で痛めつけられると蜜は出しません。そのため数年に一度しか採れない貴重なはちみつです。

アサグラの樹皮や葉には、抗菌性や抗ウイルス性が強い生物活性化合物が含まれており、
中国南部では伝統薬として使用されていたそうです。

地元にある、変わった美味しいはちみつを知ってほしいですね。
特に沖縄の人に。この自然環境だからこその味なので。

自分が養蜂をできるのも周りの人たちのおかげなので、地元の人に楽しんでもらえると嬉しいです。

わんさか大浦パークにある「久志の手しごと」コーナーでは、
地域の方からお借りした糸車に乗せて、販売しています。


にがあま蜜を多くの人に味わってもらえるように。

わんさか大浦パークでは、蜜蜂ブンブン堂さんのはちみつで
多くの加工品を販売しています。

アサグラを蜜源とする蜜蜂ブンブン堂さんのはちみつは、「にがあま蜜」と呼ばれ、甘さの中に少しハーブを思わせるビター風味が特徴です。

にがあま蜜だから、最初は市販のものに慣れていると、この味にびっくりする方がいると思うんです。
でも、自然な味わいで、この味に慣れるとこれじゃないと食べられなくなるんです!
これがはちみつの美味しさなんだなあと感じます。

調理中は、加熱しすぎないことを気を付けています。
栄養成分を飛ばさないように。
ティラミスもはちみつだけの甘さで作っています。
自然な甘さ、風味を味わってもらえるように。

わんさか大浦パーク調理スタッフ スイーツ担当の萱島まゆみさん

私はこのやんばるの自然が大好きで、
自然相手で大変な中、作ってくれている生産者さんの皆さんのことを
本当にすごい!と思っていて。
そんな方々の想いがつまったものだから、私も大切に作っています。

平良さんは、マンゴーも出荷してくださっていて、
夏に向けてマンゴーとにがあま蜜の商品も作っていきたいと思っています。
やっぱり同じ地域で採れたものは相性がいい気がします。
同じ環境で育っているからかな。

豊かな地域の自然、関わる人達との魅力が詰まった「にがあま蜜」。
この地域だからこその魅力と美味しさを、是非一度ご賞味ください。

Information

▼蜜蜂ブンブン堂さんのアサグラにがあま蜜ご購入はこちら
WEBショップ 久志の手しごと

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※1
農作物の花を訪れる昆虫がもたらす豊かな実り
-日本の農業における送粉サービスの経済価値を評価-
平成28年2月4日 国立研究開発法人農業環境技術研究所