自家製シークヮーサー商品、販売までの道のり。
2021.11.16
やんばる(沖縄県北部)でおなじみの「シークヮーサー」。
名護東海岸「久志地域」(以下、久志地域)の各家庭には、一家に一本、木があるのではというくらい、生活の一部になっています。
庭の木からモギって、 刺身醤油に2,3滴したり、泡盛に入れたり。
わんさか大浦パーク(以下、わんさか)では、7月から店頭に並び始め、9月頭には加工用シークヮーサーの買取がスタートします。
わんさかがオープンしてからすぐに、いち早く店頭に並んだ自家製商品の1つが、シークヮーサージュース。
今ではドリンク人気No.1の看板商品です。
シークヮーサーを搾り続けて10年、切っても切れない関係です。
オープン当初から行なっている、シークヮーサーの加工。
山々と大浦湾に囲まれ、赤瓦が目印のわんさかは、久志地域の交流拠点。遡ること10年前の2011年3月5日、地域の思いを背負い、満を持してオープンしました。
施設の成り立ちについては↓
わんさか大浦パークのお話し | 大浦湾 海辺の直売所「わんさか大浦パーク」 (nago-east.com) 。
当時から直売所がメインのわんさかは、店頭にシークヮーサーがたくさん並んでいました。
「地域には出荷しきれないで処分していたシークヮーサーがたくさんあった。パーラーではサーターアンダギーを出すけども、飲み物も出したいよねって話になった。いま考えたら、とっても難儀なことしてたよ〜シークヮーサーを加工する大層な機械なんてなかったからね。」
10年前を知る、現スタッフの仲村晋さん、宮城ひかるさんは懐かしそうに話す
わんさかには、加工・製造ができる調理室があります。
以前は搾る機械がなかったため、農家さんから買い取ったシークヮーサーを調理室で洗浄・カットまで行い、袋に詰めて、遠方の加工所へ行っていました。
3時間という時間制限がある中、200kgのシークヮーサーを2人で搾汁していたそうです。
2017年に搾り機を購入し、今では調理室で、年に700kg~1tものシークヮーサーを搾汁しています。
自ら収穫して、食べ物のありがたみを肌身を持って感じる
とは言っても、実際に収穫をしたことのあるわんさかスタッフは一握り。
今年は施設定休日に、スタッフ全員で収穫研修を行いました。
農家さんのほとんどは高齢者、収穫するのも一苦労。
シークヮーサーは3mほどの低木に実り、果実は直径3~4cmしかありません。
手が届かないところは、ハシゴに登り手を伸ばし、1つ1つ剪定バサミで収穫します。手でもぎ取ることもできますが、ちぎった部分から早く腐敗が進むため、加工までの鮮度を少しでも保つために、1つずつ剪定します。
実際に体験したり、関わる方のお話を聞いて深く知ることで、より愛着が湧きます。
2時間で4カゴ、80kg程。
カゴいっぱいのシークヮーサーを見て、大変さを実感しました。
いかに無駄にしないか、小さくても大切な地域の果実。
今では、スムージーやスイーツも並んでいるパーラーですが、5年前まではシークヮーサージュースしかありませんでした。
しかし、年間のジュースの販売量にも限界があるため、スイーツやパンに使えないか、と試行錯誤を繰り返しています。
「大きなお店なら捨てがちのものも、どうにかして使えないか、無駄にしない方法を調理メンバーで考えている。わんさかは自分たちで「ああしたらいい、こうしたらいい」と活用方法を考えて活かせる、それが楽しい。」
調理スタッフの有銘亜依さんより
今年は、搾汁して残る、皮の活用にも取り組みました。
大きい企業や、何トンも加工しているところは捨ててしまうかもしれません。
「乾燥させて粉砕してパウダーにしよう」、
「シロップ漬けにしてから乾燥させてスイーツの飾りにしたら可愛いのでは!?」、
「使い切れないから、畑に撒こうね~」
少数精鋭、調理・加工スタッフは4名しかいません。
わんさかは「やってみよう!」がすぐ行動に移せる、とても良い環境です。
より美味しいものをお客様に届けよう、その想いは皆同じです。
手に取ってもらうためには、材料・商品の魅力、価値を余すことなく伝えること。
私は移住するまで、沖縄でシークヮーサーが採れることを知らなかった。
同じお客様はいると思う。
東京から移住してきた、店頭スタッフ川口綾乃さんは話す
初めての来店で、自家製シークヮーサー商品を手にとってもらうこと、
やんばるでシークヮーサーがたくさん採れることを知ってもらいたい。
シークヮ―サーは、沖縄ややんばるが好きな人にとっては、青森=リンゴのように、当たり前のことかもしれません。
しかし、マンゴーや島バナナに比べたら、 まだまだ認知度が低く食べ方が知られていません。
直売所の隣のあるのが、パーラー。
ここでは、シークヮーサージュースはもちろん、売れ残りの青果を活用したスムージーやお惣菜が並んでいます。
良い商品が完成しても、売れなければ意味がありません。
メニューボードを見ると、一目でわんさかのイチオシがわかります。
わんさかを訪れるお客様は、通りがかりのドライブ休憩や観光客の方もいるので、簡潔にいかに魅力を伝えるかが店頭の役割です。
やんばるでこんなにも身近にあるシークヮ―サーは、活用の可能性が無限にあります。
地域にはまだまだシークヮーサーが眠っています。
そのシークヮーサーを1つ残らず買い取り、活用することがこれからのわんさかの課題であり、使命です。
地域の思いで建てられた、この施設。なるべく地域の要望や思いに応えたい。
わんさか大浦パーク内のパーラーにて、シークヮーサー商品販売中!
シークヮーサージュース、フロート、フローズン、スカッシュ、シークヮーサーチーズケーキ、マヌルパン。
次号では、商品開発のお話。マヌルパンの誕生秘話についてお送りします♪