伝統野菜を未来へつなぐ。二見あかカラシナのチキナーおむすび。

2022.02.28

 

沖縄県名護市東海岸・久志地域では、
地域に残る伝統野菜を活かした商品開発が行われています。
  

▼加工品の開発はこちら
100年つないで、これからも。二見あかカラシナが紡ぐ「はなぱんちゅん物語」


今回の記事では、地域の直売所であるわんさか大浦パークと、
伝統野菜の二見あかカラシナの種を守り・育てる二見あかカラシナ生産組合、
総合的な学習の時間「ふるさと学習」で地域の伝統野菜を育てている緑風学園の
連携・協働した取組「二見あかカラシナのチキナーおむすび」についてお伝えします。

二見あかカラシナを守り、育てていくために


「二見あかカラシナの種が欲しいんですけど」
わんさか大浦パークにそういった問い合わせがよくあります。

二見あかカラシナは、沖縄の伝統野菜であるカラシナ(シマナー)の変種であると推測され、葉脈が赤いことが特徴です。
地域ではあかカラシナのことを「アカシマナー」という方もいます。

いつからこの地域で栽培され始めたかは定かではありませんが、
沖縄戦時中に二見区のとあるおばぁが、戦後の食糧難を想定し、
このあかカラシナの種(お茶碗一杯分)を保管していました。

二見区はね、疎開者も多くて。
終戦後、みんなでこのあかカラシナの種を撒いて育て、飢えをしのいだんだよ。

二見区の農家さんより


▼疎開者と共に戦時中を乗り越えた、二見区についてはこちら
二見情話の里。大切に唄い継がれる理由。

そして2015年にこのおばぁの孫夫婦が種を受け継ぎ、
育て続けていていたことをきっかけに、
地域全体で種を守っていこう!という機運が高まります。

▼種を守ったおばぁの孫夫婦(現在お二人とも80代)の農家さんについてはこちら
葉脈が赤くて「はなぱんちゅん」な辛味。老夫婦がそのおばぁから引き継いだ二見あかカラシナ。

こうして大切に守られてきた種を、これからも守り続けるため、
久志地域では、2016年に農家さんが中心となり「二見あかカラシナ生産組合」発足しました。
そして、この久志地域で育てられているあかカラシナを、種を守ってくれたおばぁへの感謝の気持ちを込めて「二見あかカラシナ」と呼ぶようになりました。

現在では、①加工品、②生産量拡大、③種の保存・伝統継承の3つの取組を中心に行っています。
二見あかカラシナの種も、この生産組合(地域内関係者)で管理しており、
一般販売は現在行っていません。

普通のカラシナとどんな違いがあるの?


「二見あかカラシナって、普通のカラシナと何か違いがあるんですか?」
こちらもよくお問い合わせ頂きます。

違いはまず、見た目通りの葉脈の色。

二見あかカラシナは葉脈が赤く、通常のカラシナは葉脈が緑色をしています。
この色はアントシアニンという天然色素。
ポリフェノールの一種であり、ブルーベリーに含まれていることで有名ですが、
沖縄の農作物・植物で言うと紅芋やハイビスカスにも含まれている成分です。

ハイビスカスの赤い色は、アントシアニンが含まれています。


味の違いですが、通常のカラシナの味に比べると、
さっぱりした味わいで、後からくる苦味と渋みの余韻が特徴です。
この余韻が「はなぱんちゅん(鼻にツーンとくる、という意味の沖縄の方言)」な辛味のある香りを強調させています。
また二見あかカラシナは加熱することにより、味が濃厚になります。

「普通のカラシナと変わった食べ方は?」
こちらもよくお問い合わせいただきます。

二見あかカラシナは、この地域ではカラシナとして育てられ、食べられてきた一般的な野菜です。
そのため、食べられ方はカラシナとほとんど一緒です。


そんな中、二見あかカラシナらしい食べ方はないかな?と
二見あかカラシナ生産組合に所属する地域のお母さんが、
わんさか大浦パークに持って来てくれたのが、
「二見あかカラシナのチキナーおむすび」なのです。

手間はかかるけど、ちゃんと二見あかカラシナを伝えたい。

二見あかカラシナを、葉脈の色も残しつつ、美味しく食べたい。
そんな想いを、地域のお母さんがカタチにしてくれました。

他の地域にもあるでしょ、柿の葉寿司とかさ。
あかカラシナも葉っぱのままだったら葉脈が見えるでしょ。
切って混ぜちゃうと見えないからね。
葉を広げる手間はかかるけどさ、美味しいしちゃんと伝えたいからさ。

二見あかカラシナ生産組合のお母さんより

 

二見あかカラシナのチキナーおむすび。
葉をそのまま使うことで葉脈の赤さが見えます。
塩漬け具合で赤さが残らないことも。なかなか難しいです。


久志地域の小中一貫校 緑風学園では、
「ふるさと学習」の一環で、1・2・8(中2)・9(中3)年生が、二見あかカラシナを栽培しています。

▼緑風学園の二見あかカラシナに関する授業はこちら
”小さな生きる力”を育むふるさと学習


今までは栽培した二見あかカラシナを塩漬け(塩漬けした菜を方言でチキナーと言います)し、ごはんにまぜ、おにぎりにしていました。
今年度は、担当の先生から相談があり、
「二見あかカラシナのチキナーおむすび」を9年生が作ることになり、
生産組合のお母さんが教えてに来てくれました。

緑風学園の調理実習の様子。

 

匂いが辛いね!これが「はなぱんちゅん!」なんだね!

緑風学園9年生より


栽培するだけでなくて、実際に調理することで、
二見あかカラシナについてもっと身近に、もっと深く学ぶことができます。


 

二見あかカラシナを通した、直売所・生産組合・学校の「地域学校協働活動」


わんさか大浦パークでは、昨年から生産組合のお母さんに教わりながら、
「二見あかカラシナのチキナーおむすび」を、イベント時に限定販売していました。

今年の11周年記念イベントでも販売予定で準備を進めていましたが、
日照不足により、予定していた農家さんの二見あかカラシナの生育状況が悪く、
もしかしたらイベントに間に合わないかもしれない!という状況でした。

元々栽培する農家さんも少ない二見あかカラシナ。
今年は販売中止になるかもしれない、、、と思っていたところ、
生産組合として緑風学園で営農指導を行っている組合長さんから


「緑風のあかカラシナ、上等(よくできているの意味)にできてるから、買い取ったらいいさ!」

という言葉を頂いて、緑風学園と相談し、わんさか大浦パークで買い取らせいて頂くこととなりました。

わんさか大浦パークのスタッフ(左)と緑風学園の9年生。
9年生が収穫した二見あかカラシナを渡している様子。

ということで、わんさか大浦パークの11周年記念イベントでは
地域の子ども達が栽培した「二見あかカラシナ」を使用した
「二見あかカラシナのチキナーおむすび」が限定販売されます。

僕達が育てた二見あかカラシナが地域の役に立ててうれしいです。

緑風学園9年生より


学校の授業に、地域の方が講師として来校する。
これも立派な地域学校協働活動かもしれませんが、
その活動が地域へも貢献できている、と感じることが、
子ども達にとっても大事な学びになるではないでしょうか。

伝統野菜を未来へつなぐ、「二見あかカラシナのチキナーおむすび」を
ぜひご賞味ください。

Information

▼はなぱんちゅん物語のご購入はこちら


▼わんさか大浦パーク11周年記念イベント

わんさか大浦パークは3月5日で11周年を迎えます。
日頃の感謝の気持ちを込めて、周年イベントを開催します。
記事で記載している「二見あかカラシナのチキナーおむすび」も
限定販売しますのでお楽しみに!

▶日程:2022年3月5日(土)、6日(‎日)
▶内容:春の美味しいもの祭り・11周年記念タンブラー販売
▶ステージ:フラダンス(5日)、チアダンス(6日)のお祝いステージ

詳細・最新情報はわんさか大浦パークInstagramをご参照ください!
わんさか大浦パークInstagram




文責:NPO法人久志地域観光交流協会(坪松美紗)